DICエステート株式会社:事業内容
―化学で彩りと快適を提供する―
DIC株式会社は印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界トップシェアの化学メーカーです。
そのDIC株式会社の100%出資子会社として、DICグループ内において、不動産業務、保険代理店業務、警備業務、受託業務などを行っています。これらの業務を通じて、グループ内人材の有効活用や障がい者雇用の拡大、セキュリティの確保などに寄与しています。
DICエステート株式会社:業務サポート部のご紹介
業務サポート部では、障がいのある社員が集配業務・宅配業務・給茶器保全業務などを担当し、社員が快適に働けるようサポートを行っています。
こちらのメール室では、DIC本社内の郵便物・宅配便の集配業務、会議やイベント会場の設営や書類の封入封かん・宛名貼りなどの軽作業、給茶器管理・呈茶業務などを担当しています。
2020年10月現在、27名が在籍しており、その内障がいのある方が16名勤務しています。
特別支援学校からの数回の職場実習を経て新卒者を採用おり若い社員が中心となっています。DICグループ社員から頼られるサポーターになる、信頼されるために高い品質を提供することを心がけています。
また作業マニュアルを自分たちで作成し、随時業務改善のミーティングを開き自分たちで作業マニュアルを更新するなど自分たちの職場は自分たちで作っていくことを実践しています。
更に障がいのある社員の中からリーダーを任命し、障がいのある社員だけで業務が滞りなくできる職場を目指しています。
東京都ビジネスサービスへの依頼内容
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・サポートスタッフの派遣常駐サポート障がい者支援の知識・経験ある弊社社員をDICエステート株式会社へ派遣し、現場に常駐して障がいのある社員への業務指導や面談などの支援を行う定着サポート
DICエステート株式会社様へのインタビュー
DIC株式会社 総務人事部長 嵯峨 様
DICエステート株式会社 業務サポート部部長 古田 様
DICエステート株式会社 業務サポート部メール室統括リーダー 黒田 様
DICグループとして障がい者雇用の取り組みとしては、当初は、各事業所で主体的に採用および活用を試行錯誤することから始めている状態で、何とか国の法定雇用率の達成を目指している状態でした。
その後、会社としてダイバーシティの取り組みを進めることに伴い、障がい者の方を積極的に活用していこうと方向転換を始めました。
ただ、本社では軽作業的業務があまりなく、他社求人との競争においてうまく採用が進んでいなかったのですが、本社の庶務・総務系の業務を受託するDICエステートが、フレキシブルに障がい者を採用し活用ができる体制にしました。
他社の取り組みなどを参考にして社内の受け入れ態勢を整備し、業務サポート部の集配業務や軽作業、給茶業務などを障がい者の方に担当してもらうようにしました。また、特別支援学校との連携で職場実習を実施しマッチングを重視して採用をしてきたことで、ここ数年で目覚ましい成果が上がっていると感じています。
社内全体にも、障がい者の方の業務について社内報に掲載して社内周知を行っています。
各部署に集配で出入りをするときに元気に挨拶をする社員の方が、社内に良い空気を運んでくれていて、「社内報で名前を知ったから、今は挨拶友達なんだ」と知らせてくれる社員もいたりと、少しずつ障がい者雇用が浸透してきていると感じますね。
業務サポート部のメール室では以前、障がいのある社員だけではなく、再雇用の健常者もいる部署でした。年配の再雇用の方は、障がいのある社員と一緒に仕事をする経験もなく、個々の障がいの個性が理解できずに、受け入れ側が自分の今の経験を押し付けてしまったりして、人間関係が上手くいかなかった事例を何度か経験しています。しかしながら年配の社員が見逃したミスを障がいのある社員は実直に指差し呼称でチェックをしてキャッチアップする能力がある方が多かったので、チェックの方法を基本動作とし徹底して行ってもらいました。その結果ミスが激減し、その実績を通して今では障がいのある社員の強みもしっかり理解できるようになってきています。このような強みを認め活かすことがポイントと考えています。
それにより現在は、個人の能力に合わせた職域と職責の拡大を目指し、障がいのある社員の中からリーダーを選出し、障がいのある社員だけで業務が滞りなくできる組織になっており、3,4年前より良い職場になっていると実感しています。
DICグループの雇用モデルとして、新卒の方に最初の社会経験として、社会に出て仕事をしていくというのはどういうことなのか学べる職場を作ってきました。
今後、社員の中から個人の選択として、キャリアアップをしてもっともっと仕事の幅を広げていく選択肢もあれば、当社以外のもっと高いレベルを求めて外へ仕事を探していくというのもあるだろうと考えています。
でも私どものDICエステートというこの職場は、社会経験の第一歩として活用していただく職場であることで、障がい者の方が安定して頑張っていただける場を提供できるのではないか、と考えています
今の段階ではそういった職場づくりを継続するため、支援学校などとコンタクトをとり、いい関係づくりを構築しています。
会社全体としては、DICエステートの取り組みをモデルに障がい者雇用を展開していきたいと考えています。
一部やり始めているのが、各地域での支援学校とのコンタクトです。
例えばインターンシップでチャレンジして頂いたりしてパイプをつくっていくとか、事業所ごとに取り組み始めています。
本社の障がい者の方はDICエステートに大体集まっていますが、各事業所は技術部門で仕事をしていれば技術の人たち、庶務系なら総務、と指揮命令者が複数いてバラバラに配置されています。
障がい者のマネジメントは専門の部署が全部引き受けて、業務の作業指導だけを各部署でやってくださいとか、働きやすい受け入れやすい環境づくりを組織の面からも工夫できるのではないかと。
その延長線上に特例子会社化した方がやりやすいのかなという考えもありますね。
我々担当者が障がい者雇用については全くの素人集団で、誰もノウハウを持った人がいない状態でスタートしました。
徐々に経験を積んではいきましたが、人数も増えてきて、もっと規模を拡大していきたいと考えている中、現状の担当者だけではやりきれないということと、これまで素人だけで構築してきた仕組みを専門の知識を持った方を入れて修正していかなければならないと考えた際に、たまたま東京都ビジネスサービスさんとご縁ができて、お願いをする事になりました。
業務の終わりに障がいのある社員には日報を書いてもらい、コメントの返信や面談といった個別指導や各業務の担当リーダーとの情報共有をお願いしています。
アドバイスが的確ですし、障がいに対する知識が多いので早い段階からお任せしています。
また新しい業務を社内から請け負い始めていますが、障がいのある社員に作業を落とし込む業務設計と作業指導も安心して任せています。
もう一つ、特別支援学校からの実習の対応では、一人一人の特性を見抜く力に長けており、学校の先生が気付かなかった特性を見抜いて、それに合わせた指導方法を見つけ先生も驚いていました。
また、当社がどの方向に進もうとしているのか、企業目線で理解していますし、自ら考えて動いているので助かっています。
時には、軌道修正をすることもありますが、情報共有を密にして、意思疎通を図っています。
社内からこういった人材を見つけることは難しいですから、機会があればこのような人材を増やしていけたらと思いますね。
まだそんなに切り出せてもいないですが、障がいのある社員の方の強みを活かせればと考えています。例えば、最近でいいますと総務人事部から個人情報を含むセキュリティ性の高い書類をチェックして発送するという仕事の依頼がありました。彼らは実直に手を抜かずに業務に取り組みますしそのなかでもチェックをすることに長けており日々の業務でそれが実績として認められています。その結果として任せてもらえたのではないかと思います。
このコロナ禍でテレワークが増えましたが、テレワークがスムーズに進むように、わざわざ会社に来なくてはいけない仕事を我々が引き受けることで、業務を増やしていけるチャンスだと思っています。
例えば当社に届いた郵送物を開封して処理するといった、出社しなければならない仕事を業務サポート部で代わりに開封、電子化後に担当者へメールで送ればテレワークで処理をしてもらうことなどがあります。この仕事は業務サポート部がメール室の機能を持っているので水平展開が図れると考えています。
このような形で実績を増やして徐々に「いろいろな仕事が任せられる」というのが判ってもらうことで仕事は増えていくのではないかと思います。